ケアプランの文例をご紹介
ケアプラン作成
実際にケアマネジャーとなって利用者さん個人の状況にあわせたケアプランを作成するのは難しいものです。ケアプラン作成時にケアマネジャーが悩むポイントは、提案する文章がワンパターンになってしまうことや、利用者さん本人の状況にあった最適な表現がみつからないということです。そこで今回は、ケアプラン作成の参考にしてもらうために、さまざまな状況で作成されたケアプランの文例を紹介します。
ちなみに、ケアプランには長期目標と短期目標があります。短期目標は長期目標の達成を目指し、段階的に定めた目標です。
ADL(日常生活動作)のパターン
まずは、ADL(日常生活動作)に問題のある利用者さんのケアプランとは何か文例を紹介します。
「ひとりで外出したい」というニーズがあるが、歩行困難な利用者さんに対しては、長期目標を「ひとりで安心して買物や外出ができている状態」とし、短期目標を「杖や歩行車などの活用により買物や外出ができる状態」と設定します。
「リウマチで歩行が困難。転倒の心配をせずに日常生活を送りたい」というニーズに対して、歩行困難な利用者さんには長期目標「自宅の中を一人で安全に動ける状態」、短期目標「頻繁に利用するトイレや風呂の移動を安全に行える状態」を設定してみましょう。
介護力のパターン
次に、介護力に問題を抱えるケースについての文例の紹介です。
「自宅介護で娘さんがひとりで介護をしている」場合のケアプランの例として、長期目標を「介護保険サービスを活用させて、利用者さんと介護者である娘さんが共倒れしないようにすること」とし、短期目標を「介護者である娘さんの負担を軽減させるために適切なサービスを提案する。そして、娘さんが休む時間や余暇にあてる時間を作る」と設定します。
「寝たきりの利用者さんと夫の二人暮らしで、夫が介護に不慣れである」場合のケアプランの例では、長期目標を「主介護者の夫に介護方法を指導。フォーマル、インフォーマル両方から支援」、短期目標を「夫への介護方法を指導し、子どもの支援可能性を検討。また、訪問介護を活用する」と設定してみるのはいかがでしょうか。
健康問題のパターン
さらに、健康に対して問題があるケースに対するケアプランの例を紹介します。
「食事拒否の傾向が強くあり、健康状態に悪化がある」というニーズの例としては、長期目標を「毎食問題なく食事を摂取できる状態にすること」とし、短期目標は「主な介護者との関係、デイサービス・ショートステイの施設利用でも食事拒否が続くかを確認」としてみましょう。
「パーキンソン病のため自立歩行が不安定」というニーズがあった場合は、長期目標を「自宅の中を一人で安全に歩行できる状態」と設定し、短期目標を「通所リハビリテーションの活用、手すりの設置、段差解消など居室環境を改善し転倒防止」と設定します。
ケアプラン作成時の注意ポイント
厚生労働省は、ケアマネジャーが作成するケアプランに対して課題を感じています。それは、事業所の区分支給限度が基準額の満額に近いようにケアプランが作成されているケースです。現在、ケアマネジャーが作成したケアプランと、利用者さんが本当に必要としている介護がマッチしていないという事実が生じています。
ケアプランは公正中立な立場で作成するように規定があります。しかし、偏ったサービス提供やグループ法人のサービスを利用しないというプランが提供され、担当や事業所を変えさせられたりする例も生じています。このような例もあるため、ケアプランを作成する時は注意して作成しなければなりません。
一部ではありますが、それぞれのパターンの長期目標、短期目標の文例を紹介しました。少しでも書類作成の手助けになれば幸いです。